湧永製薬株式会社 代表取締役社長
ワクナガレオリック オーナー
湧永寛仁様
-現在の広島スポーツ界についてまずはどんなことを感じられますか?
私は現在、東京を起点として、海外を含めて色々なところに行くことがありますが、そこで感じるのが「郷土愛」です。
故郷を想う心は海外の人たちより日本人の方が強いのではないでしょうか。
特に広島出身の方はそのように感じます。
広島には多くのスポーツ資源があり、それぞれに強い想い入れがあるように感じます。
そのような想いは広島を離れているからこそ強く感じます。
しかし、スポーツ界自体は長く低迷している状況です。
そこで、まずは私がスポーツ界にできることとしてワクナガレオリックを強くしなければならないと思っています。
チームを強化し、ファンの方々に喜んでもらえるようなことを企画していきたいと考えています。今は話せませんが、色々なことを考えていますよ!笑
―しかし、企業スポーツを取り巻く環境は年々悪くなっています。広島でも同じ状況だと思いますが、スポーツチームを持つことの意義はどのように考えられているでしょうか?
確かに現在のスポーツ界では、選手がスポンサーをなかなか見つけられないなど、非常に厳しい状況にあります。それはなぜか?
今までの日本の企業スポーツは、社員の結束や帰属意識の高揚、福利厚生もしくはCSR(企業の社会的責任)という面が強く、経営に対する「価値」を創造できていませんでした。ですので、不況になれば廃部となってしまう。
私はワクナガレオリックの存在意義として、湧永製薬の企業価値を高める重要な役割を担ってほしいと考えています。
選手たちにはハンドボールプレーヤーとして一流であると同時に、社会人としても一流になってほしいと思っています。また、選手のセカンドキャリアに関しても、一流のビジネスパーソンとして会社や社会を動かしていく、そういう人材になってほしいと思います。為末大さんなどがいい例ですね。
スポンサーに苦しんでいるスポーツ界だからこそ、スポーツプレーヤー自らがビジネスを興し、企業を動かしていく、そうすることでスポーツ界全体がいい方向に向かうのではないでしょうか。
―スポーツをビジネスと捉えることに関してはどのようにお考えですか?
日本ではスポーツをビジネスとして捉えることに関して、まだまだタブー的なところがあると思います。
しかし、それは本当にモッタイナイと思います。スポーツには非常に大きな「力」があります。それはオリンピックやワールドカップ、メジャーリーグなどが証明しています。しかし、マイナーなスポーツでは上手くいっていません。
まずは湧永製薬がハンドボールで1つの成功例を作り、そこから他の企業、他のスポーツに広がっていくことを願っています。ワクナガレオリックの目標は世界で通用するチームになること。ハンドボールはヨーロッパで盛んですが、そのチームと互角に戦えるチームを作りたいと思っています。
その他にも色々なことにチャレンジしていきたいと考えています。
-そのチャレンジの一環として昨年からフェイスブック、ツイッターそしてレオリックの試合をユーストリームで中継するなど、ソーシャルメディアをミックスして情報発信をしています。これはどのようなことがきっかけで行われるようになったのでしょうか?
ハンドボールは、残念ながら日本ではメジャーなスポーツではありません。そのため、なかなかマスコミに取り上げてもらうことができず、結果的に、多くの方にハンドボールの魅力を伝えることができていません。では、どうすればこの問題を解決できるか、そこで思いついたのがソーシャルメディアを使った情報発信です。
-具体的にどのような形でソーシャルメディアを使われているのでしょうか?
私は主にフェイスブックを使っています。昨年2月頃から使い始め、これまで色々と試行錯誤しながら使ってきましたが、情報発信のツールとして非常に高い可能性を感じています。
ソーシャルメディアは、直接的に商品の宣伝をすることにはあまり向かないような気がしています。逆に違和感を覚える人もいるようです。
そこで、まず「湧永製薬社長 湧永寛仁」個人のフェイスブックページを立ち上げました。
なぜ私のページか?
それは私を軸にすれば点を線としてつなげられると思ったからです。実は、「湧永製薬」と、弊社主力製品である滋養強壮剤の「キヨーレオピン」、そしてハンドボールチーム「ワクナガレオリック」が相互につながっていない方が、思っていた以上に多いことが分かりました。
だからこそ私が軸になり、情報を発信していくことにしました。発信する情報は「ワクナガレオリック」「湧永満之記念庭園」「海外展開」「社内行事」「ニンニク豆知識」の5つの話題に絞っています。基本的に商品の宣伝はしません。そうすることで単に一時的に商品を知ってもらうのではなく、長い目でみて湧永製薬に対する認知度を高めていくことができると考えています。
また、ツイッターはフェイスブックとは違った特徴を活かして使っています。
ツイッターはタイムラインで動いていくメディアですので、瞬間的に今起きていることを伝え、皆で共有することができます。さらに、リツイートして情報を広げることもできます。これはスポーツの試合などで非常に効果的に利用できると思いました。昨年のなでしこジャパンの試合がいい例でしょう。
私も主にワクナガレオリック関連の話題にツイッターを使っています。
-その中継は色々とご苦労があったのではないでしょうか?
立ち上げ当時、一番大変だったのは通信の確保です。不幸中の幸いというか、ワクナガレオリックの本拠地である広島県北部の安芸高田市は、ハンドボールの試合会場の中で最も通信環境が悪い場所でした。だからここで中継ができれば他の場所でも問題はないだろうと考え、テストを開始しました。そこからが始まりでした。しかし、努力すればなんとかなるものです。現在では、画質も当初より良くなり、画面にはリアルタイムの得点表示などができるようになりました。
ノウハウは包み隠さずお教えするつもりです。他のハンドボールチームやスポーツ団体にもこのような取り組みの動きが出てきてほしいと願っています。
-湧永社長の夢を教えてください。
私の最終目標は「世界から病気をなくす」ということです。製薬会社として病気で苦しんでいる方を1人でも多く助けたいというこの大きな目標に向かって短期、中期、長期とビジョンを持っています。今まで会社として培ってきた歴史、文化に敬意を払いつつ、自らが起点となって挑戦していく、そうすることで会社も自分も成長していくと考えています。チャレンジし、常にポジティブに進んでいきたいと思っています。
-最後に若者へメッセージを!
私は若い方に対して悲観的なイメージは全く持っていません。弊社の若い社員をみてもそうですが、常にチャレンジ精神があり、高い志を持ってくれています。
しかし、私が学生の頃より「競争」が激しくなっています。これは自分の周りだけでなく、世界を相手にしなければならなくなっているからです。だからこそ、「勉強」してほしいと思います。これはただ単に語学力をつけたり資格をとったりということではなく、自分で考え、自ら行動する力を養ってほしいということです。学生の皆さんにはどんどんチャレンジし、常にポジティブに考えて行動してほしいですね!
-ありがとうございました!